天安からアンニョン

日々の思いや韓流情報などをエッセイ風に書きます。韓国からの発信です。

きょうだいを殺しに _ 高良留美子の詩

高良留美子の「きょうだいを殺しに」という詩をご紹介します。
非常に強い感銘を受けました。

♦ここから引用♦

わたしたちは言わなければならなかった
日の丸の波に送られて
たたかいに行く兵士たちに
きょうだいを殺しに行ってはいけないと
わたしたちは言ってはいけなかった
お国のために立派にたたかってきて下さいなどとは
国とは何なのか
国とは何だったというのか
わたしたちは日の丸の小旗など振って
道に並んではいけなかった
やがてその人の血に染まる
千人針などを作ってはいけなかった
わたしたちは言わなければいけなかった
どんなに美しいことばで飾られようと
あなたたちが殺しにいくのは
きょうだいしまいなのだと
わたしたちは言ってはいけなかった
お国のために死んで下さいなどとは
国とは何なのか
国とは何だったというのか
わたしたちは一度でも
そのことを考えたことがあったか
わたしたちは言わなければいけなかった
きょうだいを殺しに行ってはいけないと
日の丸の波に送られて 行き
二度と帰らなかった
男たちに

♦ここまで引用♦


戦争の足音がまた聞こえてきそうな日本です。
今こそ、わたしたちが声をあげて、戦争はしない、ということを
強く訴えるべきときではないかと思います。
争いはあっても、戦争でない道を選んでやってゆくべきです。
21世紀になって、まだ戦争をしますか。
戦争でない方法をなんとか模索して、賢明な道を探してやってゆくべきです。
そしてそれは必ず可能なことだと信じます。
上の詩は、『ポケット詩集Ⅲ』(童話屋)にあった詩です。


妻 _ 大木実の詩


大木実の詩に「妻」というとてもかわいらしい詩があります。
ご紹介します。

♦ここから♦

「妻」


何ということなく
妻のかたわらに佇(た)つ
煮物をしている妻をみている
そのうしろ姿に 若かった日の姿が重なる

この妻が僕は好きだ
三十年いっしょに暮してきた妻
髪に白いものがみえる妻
口にだして言ったらおかしいだろうか

―――きみが好きだよ

青年のように
青年の日のように


♦ここまで♦


なにげない日常のひとこまですが、
なんでもないこういうところに
夫婦の愛というか、思いやりがあるんでしょうね。

わたしは、
妻が鼻唄を歌いながら後片付けしている瞬間がいちばん好きです。
そういう妻を見るのも好きだし、
そういう瞬間がわが家にあること自体が好きです。

みなさんはいかがでしょうか。
子供とは血のつながりがありますが、
妻とは血のつながりがないんですよね。

夫婦は完全な「赤の他人」なんですが、
これ以上近い存在もありません。

夫婦って不思議です。


みみをすます(5) _ 谷川俊太郎の詩(5/5)

みみをすます
みちばたの
いしころに
みみをすます
かすかにうなる
コンピューターに
みみをすます
くちごもる
となりのひとに
みみをすます
どこかでギターのつまびき
どこかでさらがわれる
どこかであいうえお
ざわめきのそこの
いまに
みみをすます

みみをすます
きょうへとながれこむ
あしたの
まだきこえない
おがわのせせらぎに
みみをすます

**********************************************

以上で5日にわたりアップしてきた谷川俊太郎作「みみをすます」を終わります。

きょうの5回目では、

「ざわめきのそこの
いまに
みみをすます」

の部分に俊太郎独特の言い回しを見て取りました。
「ざわめきのそこの いまに みみをすます」

これは詩人独特の文法です。おそれいりました。おもしろいです。

さて、
詩をこのように分けてアップするのはどうかと思いますが、
このブログは詩集ではないのでお許しのほど。

「みみをすます」。
この発音をするだけでも詩ですよね。
すばらしいことばです、「みみをすます」。

わたしたちは、自分の体にみみをすまし、足もとの雑草にみみをすまし、
流れる雲にみみをすまし、山の向こうにみみをすまし、
水に空気に雪に氷に
みみをすまして生きていきたいものです。

「みみをすます」全体を通してカタカナは、

ハイヒール、モカシン、プランクトン、コンピューター、ギター

の5つが使われています。
「ああめん」「おるがん」などはカタカナが普通ですが、あえてひらがなで書いてます。
このあたりの深いニュアンスは、俊太郎本人に確認してみたいところです。

カタカナを全く使わないで全部ひらがなで書いてもよかったのではないかと
わたしには思われるんですが、
なぜこの5つはカタカナで書いたんでしょうか?
不思議です。


みみをすます(4) _ 谷川俊太郎の詩(4/5)

(ひとつのおとに
ひとつのこえに
みみをすますことが
もうひとつのおとに
もうひとつのこえに
みみをふさぐことに
ならないように)

みみをすます
じゅうねんまえの
むすめの
すすりなきに
みみをすます

みみをすます
ひやくねんまえのひゃくしょうの
しゃっくりに
みみをすます

みみをすます
せんねんまえの
いざりの
いのりに
みみをすます

みみをすます
いちまんねんまえの
あかんぼの
あくびに
みみをすます

みみをすます
じゅうまんねんまえの
こじかのなきごえに
ひゃくまんねんまえの
しだのそよぎに
せんまんねんまえの
なだれに
いちおくねんまえの
ほしのささやきに
いっちょうねんまえの
うちゅうのとどろきに
みみをすます

**********************************************

(ひとつのおとに
ひとつのこえに
みみをすますことが
もうひとつのおとに
もうひとつのこえに
みみをふさぐことに
ならないように)

この部分も意味深ですよね。

これはたぶん、太平洋戦争のころの、
日本全体が「それいけ、戦争だ!!!」という空気になっているとき、
「いや、戦争はやっちゃいけない」という声が掻き消された経緯がありますが、
あのようなことを言っているんだと思います。

今現在でも、福島では「放射能」の「ホウ」の字も言ってはならない、
というような空気があると言われていますが、
そういうことを言っているんだと思います。

人間は「自由」であることが最大の価値だと思います。

自由にものが言えなくなるとき、
そこには大きな問題、大きな壁、大きな断絶、激しい暴力が
大手をふって歩くような許されざる時代が到来することになるのでしょう。

特定秘密保護法のようなものが、堂々と手をふって歩くような時代が、
当たり前の世の中と言えるのでしょうか。


みみをすます(3) _ 谷川俊太郎の詩(3/5)

おじいさんの
とおいせき
おばあさんの
はたのひびき
たけやぶをわたるかぜと
そのかぜにのる
ああめんと
なんまいだ
しょうがっこうの
あしぶみおるがん
うみをわたってきた
みしらぬくにの
ふるいうたに
みみをすます
くさをかるおと
てつをうつおと
きをけずるおと
ふえをふくおと
にくのにえるおと
さけをつぐおと
とをたたくおと
ひとりごと

うったえるこえ
おしえるこえ
めいれいするこえ
こばむこえ
あざけるこえ
ねこなでごえ
ときのこえ
そして
おし
・・・・・・
みみをすます

うまのいななきと
ゆみのつるおと
やりがよろいを
つらぬくおと
みみもとにうなる
たまおと
ひきずられるくさり
ふりおろされるむち
ののしりと
のろい
くびつりだい
きのこぐも
つきることのない
あらそいの
かんだかい
ものおとにまじる
たかいびきと
やがて
すずめのさえずり
かわらぬあさの
しずけさに
みみをすます

**********************************************

「ああめん」とか「おるがん」など
普通はカタカナの語がひらがなになってますので、
その驚きがありますね。

ちょっとこれは差別用語ということで
今は禁止されているのかもしれませんが、

「ときのこえ
そして
おし
・・・・・・
みみをすます」

の部分の「・・・・・・」が、なんとも意味深ですね。

声のない沈黙、沈黙の中の表情が「・・・・・・」の部分に感じられませんか。
なんとも、楽しい詩です。

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プロフィール

treenamu

Author:treenamu
韓国在住の日本人で、山歩きやサッカー、リフティングなどが好きです。小説・随筆なども書いてます。鴨長明、ヘッセ、バルザック、モーム、チャンドラーなどが好きです。スローライフがモットーです。

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