天安からアンニョン

日々の思いや韓流情報などをエッセイ風に書きます。韓国からの発信です。

チョルル チョアハセヨ _ 筆者のエッセイ0019

   友人が学院(塾にあたる)で日本語講師をしていた。ある一人の女性が学生として入ってきた。高級会話クラスに入ってきたが、そのクラスに学生は彼女一人だけだった。来る日も来る日も一対一での講義。ある程度の実力があって入ってきたわけだが、夜も寝ないで宿題をこなしてくるから、伸びるわ伸びるわ。三ヶ月ぐらいで会話力に磨きがかかり、外国人ということを感じさせないほどの実力がついてきた。流暢な日本語で話せるようになっていた。
 日本語力もそうだが、一対一での授業だから、自然に親しくなる。友人は既婚者だったから他の女性に(原則として)関心を持つようなことはなかったのだが、わけあって長く別居生活をしていたこともありデートしたりするようになっていった。わが家にもそのおり一度いっしょに来たことがあったが、かなりやばいかな、と思うくらいの親しさを見せていた。
 そんなおり、彼女が彼にこういった。

 「チョルル チョアハセヨ ? 」

 「チョル」というのは「お寺」の意味をもっているいっぽう、それとは全く異なる「わたしを」という意味をも持っている。「チョアハセヨ」は「好きですか」の意である。それでこのことばの意味は基本的には「お寺が好きですか」という意味になるわけである。しかし「チョルル」という部分は「わたしのことを」という意味にもなってしまう。友人は彼女に気があったこともあり二番目のほうの意味で、つまり「わたしのこと、好き?」というふうな意味であると勘違いしてしまった。急にそんなことを聞かれてどぎまぎする彼。それを見てふざけて笑う彼女。このころ彼はけっこう真剣に彼女のことを好きになりかけはじめていたのだが、この事件があったあと、彼女に対する熱は急激に冷めていったようだ。家庭もちの彼の立場から見れば、どれほど幸いな結果だったことかわからない。不倫がいくら現代の流行りであるとしても、それはやはり「いけない道」であることにかわりはない。
 あの子、実力があったから、あのあとすぐ別の学院で日本語の先生になってしまったけど、いまでも韓国のどこかの学院で日本語講師をしているのだろうか。彼のおかげで講師ができるまでになりながら、彼の気持ちを踏みにじり台無しにしてしまった彼女。でも彼は彼女をとっくに許していることだろう。一時的とはいえ彼にときめきを与えてくれたのだし、苦しい時期に一つのほのかな明かりになってくれたのだから。
 弟子と師匠。弟子からの尊敬の念を男女間の好意と錯覚してはならない。男と女には踏み越えてはならない一線があることを、あらためて気づかされた出来事であった。その彼、日本に帰り実家九州で韓国人の奥さん(もちろん上記の女性ではなく、本来の奥さん)とともに韓国物産店を営んでいるはずだ。韓国ブームにあやかりうまくいっているという風のたよりもある。幸せを祈るばかりである。

(※) 学院:韓国語の発音ではハグウォンということになる。英語学院、日本語学院、小中学生の塾、大学入試専門の塾、テコンドの塾、公務員試験の塾、などなど韓国では塾が大ハヤリである。ソウルのノリャンジン(露梁津)という地下鉄駅前がこうした学院・塾街として有名だ。駅前はすぐ道路になっていてロータリーなどがあるわけではないが、学院に通う学生、サラリーマンなどで一年三六五日賑やかだ。早朝六時ごろから授業が始まる学院もあり、韓国の学生らの勉強熱は尋常ではない。朝六時に学院に着くためには毎日四時、五時起きして通っている学生も多いと聞く。そのバイタリティーたるやすさまじいというに尽きる。

                                                                

                                                                                           (『おしょうしな韓国より

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コメント

こういうご指摘は、
書いている本人にはなかなか思いつかないことでして、
ありがたく受けとめさせていただきます。

とくに、、、

と言いがら「彼の気持ちを踏みにじって
台無しにした」と仰る。矛盾していますね。

、、、の部分は、確かに、、矛盾してます;;;。

わたしとしては勿論、彼の気持ちを「もてあそんだ」という
そのことを言いたいわけですが、
でも矛盾は矛盾ですよね。

ああ、こういう見方もあるんだなと、
はじめて気がつきました。

ハンス ベウォッスmニダ。
(一つ、勉強させていただきましたの意。)。

初めまして。

「彼のおかげで講師にまでなれた」というのは違うと思いますよ。
彼女が夜も寝ずに勉強したから、元々の能力も高かったからです。彼も教師としての職務をきちんと果たしたのでしょうが、どう考えても「彼のおかげ」ではない。
それとも「教師は生徒の努力も自分の手柄にするのが当たり前」なんでしょうか?

彼が無料のボランティアで熱心に教えたならまだ話は分かりますが、彼女は塾でお金を払って教えてもらったのです。誰が見てもイーブンですよ。マンツーマンになったのは結果的にそうなっただけで、彼が意図してやった訳じゃないですしね。

それと、「彼の気持ちを踏みにじって」との事ですが、あれで踏みにじってるなら、彼など別居中の奥さんの気持ちを踏みにじりまくってますよ。奥さんが知らないのをいいことに、別の女性とデートしているのですから。
「彼は彼女をとっくに許しているだろう」のくだりは申し訳ないけど「何言ってるんだ?」としか思えません。許されなければならないような事は彼女はしていないと思いますが。
しかし、不倫はいけないと言いながら「彼の気持ちを踏みにじって台無しにした」と仰る。矛盾していますね。彼女が彼の気持ちを尊重していたら、不倫の関係になっていた可能性が高いというのに。

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Author:treenamu
韓国在住の日本人で、山歩きやサッカー、リフティングなどが好きです。小説・随筆なども書いてます。鴨長明、ヘッセ、バルザック、モーム、チャンドラーなどが好きです。スローライフがモットーです。

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