天安からアンニョン

日々の思いや韓流情報などをエッセイ風に書きます。韓国からの発信です。

カルビ _ 筆者のエッセイ0017


 カルビとは何かというと、あばら骨の部位のこと。肋骨の部分である。ここに付く肉だからカルビというのである。部位によって肉の味もちがうし用途もちがう。牛でも豚でもカルビとかドゥンシムといった部分は最高級品である。ドゥンシムというのは、脚のつけ根あたりの背中側の部分である。やわらかくて肉のコクがあっておいしい。ブルコギ(焼き肉)は、カルビとかドゥンシムという重要部位以外の、いわばその他おおぜいの肉の寄せ集めである。醤油・みりんなどで味付けした肉に野菜をふんだんにまぶしていっしょに焼く。芳ばしい香りが立ちのぼり、次から次に口のなかに吸い込まれていく。ブルコギもすごくおいしいし、韓国というとブルコギのイメージがあるが、ブルコギは第二次的なものである。第一次は、やはり牛のカルビあるいはドゥンシムである。これらは普通味付けをしない。肉そのままを焼いて塩などをつけてたべるだけだ。この間テレビを見ていたら、日本一のあるソムリエの話だった。このソムリエは客に決して媚びないという。客の機嫌をとり、媚び笑いをうかべて客をもてなす必要などないんだそうだ。店にある六〇〇種以上のワイン、客をもてなすのはこのワインの味であって、決してこびへつらいではないという。カルビしかりドゥンシムしかりである。本物で新鮮であれば、味付けはむしろ本来の味をじゃまするものになってしまうのだ。なんにも手を加えていない肉をそのまま焼いて塩をつけて食べるだけが、最上の味でありうまく食べるコツなのである。焼き肉のタレというものが日本では発達していて、ネコもシャクシも焼き肉のタレで食べるが、韓国の素朴な味を知ったあとでは焼き肉のタレは食べられなくなってしまう。

 実際のわたしの経験である。日本の有名な焼き肉のタレを買ってきて韓国で食べてみたことがある。おいしい肉をさらにおいしく食べてみよう、うちの家族にも日本のタレのすばらしさを知ってもらおう、というダンドリだった。ところがこのタレがなんとも人口調味料の味がして、吐きそうな気分になるのである。化学成分のせいであろう。塩だけで食べている舌には、あまりにも「化学的」なのである。日本で食べればおいしいのに、同じものでも韓国で食べると味がちがって感じられてしまう。不思議な経験だった。これはタレだけではないが、カルビに話をもどそう。
 知り合いの家族に招待されて、カルビ屋に行くことになった。このカルビ屋は、生カルビ屋である。冷凍カルビではなく生のカルビを食べさせる店で、本格的なカルビ屋ということになる。招待してくれた韓国人夫婦は二人の子ども連れ、わたしら招待を受けた家庭は日本人夫と韓国人妻の三家庭、子どもは総勢六人である。全体で15、6人という大集団だった。テーブルにつき、生のカルビが給仕され、店員さんが上手に焼いてくれる。カルビには骨がしっかりとついている。色よく焼けて、みな食べにかかった。骨についた肉は大きな塊になっているから、ハサミで数ヵ所切って食べごろの大きさにして食べる。うまい。とろけるような舌触り、芳ばしい香りを、何と形容したらいいだろうか。子どもたちも小さく切った肉を食べる。みな舌鼓を打ちながら食べる。いくらでも胃袋の中に入る感じだ。どのテーブルも肉はたいてい平らげ、骨が残った。骨にも肉はついているから、この肉も食いちぎるようにして食べる。骨についている肉もおおかた食べた。これぐらいきれいに食べれば上出来だろうと思った。もったいない食べ方をするのも礼儀にもとることではないか。

 ところがこれが大きな思いちがいだった。招待してくれた韓国人夫妻のダンナさんが、「Mさん、その骨のまわりについているやつあるじゃない。そこがいちばんおいしいところなんだよ」と言うではないか。完全に一本とられた格好だ。わたしとしては、きれいに食べたつもりだったのに、そうじゃなかったんだ。よく見ると、骨にはたしかに、肉というかプラスチックのようなコリコリのものが巻き付くようについている。骨を保護している部分のようだ。歯があんまり上等でない筆者は、この部分を食いちぎることができない。どうしよう。爪でひっぱがそうとしたが、なかなかこれが剥がれない。前歯で食いちぎれればそれにこしたことはないんだが。わたしの歯では危ない。結局そばにいたわたしのかみさんに食べてもらった。わたしはひとかけらぐらいは爪でひっぱがして食べたかな。いちばんうまいということだが、ほんとにそうかな。丈夫な歯でぎちゃぎちゃかんだら、うまさがしみだしてくるのかもしれないが、歯に若干の問題のあるわたしにはそれほどのうまみは感じることができなかった。ともあれカルビというのはこうやって食べるのか。おいしかったうえ、本格的なカルビの食べ方まで学んで、きょうは大きな収穫だ。ここまで食べれば、骨は真っ白でツルンツルン。完璧だ。骨つきカルビと日本ではいってるけど、カルビには本来骨(肋骨)がついているものなんだ。しかも骨だけを残してあとは完璧に食べるものなのである。骨つきカルビを見て喜ぶ人でも、ここまできれいに食べている日本の人はさほど多くないのではなかろうか。    

                                      
(『おしょうしな韓国』より)

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コメント

おお、これはなんと!^^
ピプコさんに言われると、
ほんと、信じちゃうわたしです。
米沢牛については、4月ごろブログに書こうかな
なんて思ってたところです。

ネットによると、日本三大和牛なることばがあって、
それは、
神戸牛、松阪牛、プラス「近江牛 or 米沢牛」の三つを
言うってありますね。
米沢牛はこのネットの記載によると最後に位置してます。
しかも「近江牛」または「米沢牛」だと。
常に三大牛に入るんじゃないんですね;;;

でもピプコさんは、「米沢牛」が一番だと。
カmサハmニダ。おしょうしな。^

牛肉と言えば

世界一美味い牛肉は、間違いなく
天安さんの故郷「米沢」の黒毛和牛じゃないですか!
韓国のカルビは私も好きですけど、
肉自体はほぼAusie…..。
米沢とは次元が違いますよ!。

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Author:treenamu
韓国在住の日本人で、山歩きやサッカー、リフティングなどが好きです。小説・随筆なども書いてます。鴨長明、ヘッセ、バルザック、モーム、チャンドラーなどが好きです。スローライフがモットーです。

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