天安からアンニョン

日々の思いや韓流情報などをエッセイ風に書きます。韓国からの発信です。

インサム _ 筆者のエッセイ0014

   秋の一日、親父、叔父といっしょに吾妻山に山ぶどう狩りにいったのは、小学六年のころだったろうか。バスを降りてからはテクテクと歩いて山にわけ入る。崖っぷちにぶどうがなっていたりして、けっこう危ない思いをしたことを覚えている。一日終えて午後三時ごろ、背中いっぱい山ぶどうを背負って帰途についたときの充実感は、今もわたしの心をさわやかにしてくれる。かれこれ四五年前の話である。
 韓国の山も、ぶどうや山イチゴ、きのこなど日本と変わらず豊かな恵みを与えてくれるが、韓国と言えばなんといっても高麗人参( インサム) だ。日本などでも栽培されているようだが、その薬効の面においては韓国産にはるかに及ばないらしい。中国産もあるがこれも韓国産に遠く及ばないという。なぜこの韓半島のものにそういう薬効が強くあるのかわからないが、とにかく大きな天の祝福であることだけはまちがいない。特に山に自生する山人参(サンサム)は貴重だ。畑に栽培する高麗人参は見られても、サンサムは日本ではほとんど見られないだけに、さらに価値があろうというものだ。山でこれを見つけたとき、「シンバッタ」と大声で叫ぶ。そうすることによって、そこら一帯のサンサムは自分のものであることを宣言することになるという。このサンサム、ほんとうのサンサムというのは、サンサムの実を鳥が食べ、その鳥が排便をしてそこから育ったものをいうそうだ。サンサムの実を人間が一回手にとり、それを畑にまいて育てたものは、ほんとうのサンサムではないという。人間の手に触れたときの熱によって、本来のサンサムではなくなるという。いわれてみるとそうかな、という気もするがすごいことだ。葉っぱが人間の手のように五枚単位で出てくる。五枚そろうまで10年以上かかるそうだ。次の枝に五枚でてくるとこれは20~30年ぐらいたっているという。さらに五枚、五枚と出てきて全部で30枚ぐらいになると、80年から100年。これぐらいになると一億ウォン(約1000万円)を超えるものもあるという。200年を超えたものは10億ウォン(約一億円)を超えるというからすごい。薬効によってなんでも治るというものでもないが、虚弱体質は改善され、ときにはガンが治ったなどという話も聞く。根っこから葉っぱの先まで一人の人が全部食べるのがよいとされている。何人かで分けて食べるのは、薬効の面から言うとだめなのだそうだ。
 以上は山に自生するサンサムの話だが、普通にチョーセンニンジンというと、畑に栽培する高麗人参のことになる。東京に住んでいるわたしの知人などは、わたしが帰省するたびにニンジンを買って帰るので、韓国ではだれでも自由にいつもいつも食べているような錯覚をもっている人もあるが、決してそうではない。高麗人参は韓国でも貴重なもので、そう簡単に食べられるものではない。かといって一度も高麗人参を食べたことのない韓国人はおそらくいないと思われるが、それでも年がら年中食べているわけではない。高価だからそんなにやすやすとは口に入らないのだ。だから日本に帰るたびに高麗人参をもってきて、と言われても海苔を買うように気軽な気持ちで買うわけにはいかないのである。
 九州出身で今も九州に住んでいるわたしの別のおじさんは、子供のときから韓国人が近くにいたようで、高麗人参のことを知っていて「あれは何でも治る薬らしい」などと言う。そんな鬼のような効き目はないと思うが、それほど「崇拝」している日本人もいる、ということはここに書いておいてもいいかと思われる。このおじの子供の頃の話だが、病気で寝ていた近所のおやじさんがよく言っていたそうだ。「チョーセンニンジンさえ手に入れば、この病気も治るんだがな」。治るかどうかは知らねど、こういう人にこそ、チョーセンニンジンをプレゼントしたいものだと思ったことだった。

 ※高麗人参:コーリョーインサム。栽培用のものと山に自生するものとに大きく分けられる。栽培するニンジンは、六年根といって六年目のものが価値がある。四、五年のものも市場には出るが、見た目も矮小で颯爽とした風格にかける。山に自生するのは本文でも言及したが、サンサムという。これは十年、五十年、百年、二百年ときりがない。大きければそれだけ年数も多い。本文にも書いた通り百年くらいになると、一億ウォンを超えるようだ。(この価格についてはまともには信じないでいただきたい。あってないようなものなのだそうだ)サンサムの百年根といっても見た目にはすごく小さい。栽培された六年根よりもはるかに小さい。サンサムの価値は、その大きさではなく、葉の数や形のよさや素性のよさで決まるのである。素人のわたしには、サンサムの価値を判断する知識はない。山でサンサムを見つけて取って来ても、その価値がいかほどなのかは「シムマニ」に聞くしかない。シムマニといわれる人々は、サンサムを採取するのが職業なのである。韓国にしかない職業だと思われる。


                                                                           (『おしょうしな韓国』より)

スポンサーサイト

コメント

天安さん おばんです。

おらの脳味噌にも効くべか・・・?。笑)

良いお歳をお迎えください・・・!!。

非常に高価な天然物人参

韓国では天然物は絶えてしまっているかと思っていたのですが、まだあるんですね。
百年物が1億ウオン?嘘だろうと思いましたが、備考欄を見て理解しました。百年経つ前に誰かが採ってしまっていて存在しない、ということですね。
人参採りを職業にしているのは韓国だけとのことですが、何年か前に見たテレビ特集では、中国東北地方で天然物の人参探しを職業としている人を追いかけていました。
その中で、何年物だったか記憶にないですが、小さな1本に30万円の値が付くと言っていましたから、驚きです。
栽培物(しかし日本産はだめなようです)であっても、薬用人参は滋養強壮に良い万能薬と言えましょう。
当店では単剤は扱っていませんが、高配合の製品3品を推奨しています。
3品とも単剤より複合剤の方が相乗効果があって良いようです。と言うか、相手方の生薬(人参より高価)の効き目をアップさせる力が人参にあることもあって配合されるようです。そうすることによって、比較的安価に製造できる。

ところで、日本人が言うところの「朝鮮半島」は韓国では「韓半島」というんですね。
また、日本では「高麗人参」と言ったり「朝鮮人参」と言ったりしますが、韓国では「朝鮮人参」とは言わないのでしょうね。
現在、韓国では「朝鮮」と言ったら“北”を指す言葉になってしまっているのでしょうか。

いつもご指摘、ありがとうございます^^

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://cheonan.blog.fc2.com/tb.php/207-38cc038d

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

treenamu

Author:treenamu
韓国在住の日本人で、山歩きやサッカー、リフティングなどが好きです。小説・随筆なども書いてます。鴨長明、ヘッセ、バルザック、モーム、チャンドラーなどが好きです。スローライフがモットーです。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

韓流 (90)
学生エッセイ (79)
ランの窓 (2)
心と体 (12)
韓国のジョーク (4)
ふるさと (52)
詩 (12)
釜山さむらい (6)
数学 (9)
サッカー (11)
筆者のエッセイ (28)
未分類 (30)

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索メニュー

RSS リンクの表示

リンク

이 블로그 링크에 추가하기

ブロとも申請フォーム

블로그친구신청

FC2Ad

Template by たけやん

動画ランキング