天安からアンニョン

日々の思いや韓流情報などをエッセイ風に書きます。韓国からの発信です。

ビビンパプ _ 筆者のエッセイ0007

これまで、「西野カレン」「なべもの」とエッセイ的なものを書いてきました。このスタイルは、これからもときおり登場する予定です。折をみて、気が向いたとき書いていきます。
きょうは「ビビンパプ」と題するエッセイです。

< ビビンパプ >

日本では普通「ビビンパ」と呼ばれているが、本当はビビンパプ。
「パ」の次に「プ」という音が小さくついている。
これをパッチムというのだが、この概念はちょっと音韻論的に難しいのでここではこれくらいにとどめておく。

「プ」という音と書いたが、これも本当は「P」という子音だ。あくまでも「プ」=「PU」ではなく「P」である。

韓流ブームのおかげで、最近はビビンパプを知らない日本の方はいないかもしれない。
ご飯にいろいろの野菜や牛挽き肉を入れ、目玉焼きを乗せてあとは韓国独特のコチュジャンをたっぷり入れてかき混ぜる。
あ、そうそう、胡麻油もちょっぴり入れて。

スッカラク(スプーン)でまぶして食べるのだが、まぶしかたによって味も違ってくるといわれている。
上手な人がかき混ぜれば見た目にもうまそうだし、実際食べてみてもおいしい。
下手な人がやると、見た目もまずそうだが食べてみてもこれまた不思議とおいしくない。

結婚して数年間は家でビビンパプを食べるときはいつもかみさんがかき混ぜてくれた。
わたしのかき混ぜる様子があまりにも不器用に見えたらしい。
パッと微笑みを見せたかと思うと、わたしの器をすっと持ち上げ、鮮やかな手並みでかき混ぜてくれるのだ。

スッカラク(スプーン)の持ち方も独特だ。
親指と残り四本指でスッカラクをぎゅっとにぎる。
このときもちろん小指側にスプーンのアタマ部分が来るように持つ。
野球でグラブを手にはめるとき、中指を抜いたり小指を抜いたりするのがよく見られるが、
あれ式で、薬指と小指をスッカラクの下にもぐりこませ、
これでスッカラクの角度をある程度自由に調節できるようにして力を込めてご飯をまぜる。

わたしの感覚としては、そんなに力を込めたらご飯つぶが潰れてしまうんじゃないのかと思えるのだが、
ご飯つぶが潰れてぐじゃぐじゃになることはもちろんなくて、
短時間でほどよい加減に野菜とコチュジャンとご飯が混ぜ合わさり、出来上がりとなる。

ものの一分もかからないくらいだ。わたしがやると五分やってもうまく混ぜ合わせられない。

この愛のこもったビビンパプ。
ご飯どんぶりに野菜とコチュジャンを入れてかき混ぜるだけなので、わたしはこの料理は簡単な料理だと考えていた。

もうすこし言うと、いろんなおかずを作るのを省略するための一つの便法つまり手抜き料理(これは言い過ぎだが)と
思っていた。

ある集まり(モイム)で、「うちでよくビビンパプ食べてるよ」と言った。
他の家でも休みの日などにはよく食べてるものと思って。

ところがなんと女性連の言うことには、「ええっ! あんなに手のかかるのをよく食べてるんですって!」ときたもんだ。
「うちもよ」といったこたえを想像していたわたしとしては、まったくもって驚きのこたえだった。
ええっ? ご飯に野菜だけ入れてかき混ぜるだけのあの料理の、どこが手の込んだ料理なんだ?

女性連の言うには、ご飯はいいんだけど、野菜がたいへんなんだそうだ。
そういえばビビンパプに入る野菜は、にんじん、もやし、ほうれんそう、わらび、ぜんまいなどなど、
五種類も六種類も入る。
いざとなれば七種類くらい入るかもしれない。

その一つ一つを、まず買ってきて、洗って手入れをして、フライパンで炒めて、とやるのは、
女性にとってかなりの労働だというのである。
一つの「便法料理」などとまで思っていたわが浅はかさに、思わず顔の赤くなるのを感じた。
かみさんのことが、またひとつ好きになってしまったのは言うまでもない。(スイマセン)

戦争中、逃げたり隠れたりと時間のないときに、
大きな器にご飯さえあれば、あとは何でもぶっこんで、コチュジャンでかき混ぜてパッと食べて逃げる。
そのときの料理がビビンパプの起源だと聞いている。

起源はそうかもしれないけど、現代のビビンパプはまったく次元を異にしていたのである。

いちばん単純な料理だと思っていたビビンパプが、
実はそうではなく、むしろけっこう複雑な種類に属するものだと知ったときの驚きは、
このエッセイの仲間として(このシリーズの仲間として)十分にその資格を有するものだ。

思いが覆されるっていうのは、場合によっては落ち込む元になることもあるかもしれないけれど、
こういう驚きはむしろわれとわが身を明るくしてくれようというもの。

「えっ、そうなんだ」と驚く。
通信料金で払わなくてもいいようなものを払い続けていた。
こういう場合はちょっとショゲルが、「今気づいただけでもよしとしよう」と持ち直す。

ネアカ、生来の楽天家、もしくはテンネンということなのかもしれない。
はたまたこれはB型のなせる業なのかもしれない。いずれにしても天に感謝ではある。



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コメント

ビビンパ

ビビンパは、
韓国の歴史と深い関係があるんんですね。
おどろきました。
考えてみれば食べ物って、みな、そうかもしれませんね。

ビビンパプ

ビビンパプの起源についてですが・・昔の朝鮮は100回以上多民族から侵略を受けたそうです。

敵が攻めてきたら混ぜたご飯は避難するとき便利だったった。しかも落としても割れない金属容器になったという話があります。真偽のことはわかりません。今は石焼ビビンパプが全盛ですがね。

ビビンパ(日本ではビビンパプという人はおそらくいないと思いますが)、あたしも大好きです。
「まぜ」は適当にやって食べてます。
おいしいですよね。ダイエットにもよさそうで。

pipco1980様、おしょうしな。

>韓国の人とカレーライス屋へは同行しない ことにしています。

いやあ、ピプコさん、実感がこもってますね。
そうです。
韓国の人は、カレーをぐちゃぐちゃとかき混ぜますからね。
わたしなんかは、ビビンバプじゃないんだぞ、って言ってますけど。
ただし、本場インドのカレーは、どうやって食べるのかはまだ知りません。日本のように端のほうから順々に食べていくのか、はたまた韓国式でかき混ぜるのか?
あ、ごはんを手で丸めてカレーをつけるみたいにして食べるのかな?
いずれにしても、たぶん、「かき混ぜ」はないだろうとは思いますけど^^。

ながつきとおか様

>ビビンバが「あんなに手が掛かるもの」との韓国女性の反応に、逆の驚きを感じました。

ここはそうですよね。書いたわたしも彼女らの反応にびっくらこいたわけです。
野菜入れてただかき混ぜるだけじゃないか、と考えて。
でも実際料理する女性がたにとっては、
上にも書きましたが野菜を買ってきて、洗って手入れして
フライパンで炒めて、というあたりが大変らしいです。
(奥様に聞いてみてください)
ながつきさんも、毎日奥様のお料理の腕に感謝してるんですね。ほほえましいですね。女は男なしでも平気かもしれませんが、男は女なしではキツイですよね。
世の女のためにがんばらねばならないですね。

毎度ですう!

石焼ビビンパ、大好きですよ!。
ただ日本人は基本的に「混ぜ混ぜ」は下手ですね。
というか、混ぜるという行為に対し、
少しの罪悪感がある(!?)。
あんまり混ぜすぎない「美観」というのか、
それぞれの素材の味や色を楽しむ...という和食文化が
根底で「混ぜることへの罪悪感」に繋がってると思います。
ただし、心ならずも完膚なきまでに混ぜあげたビビンパは
他に例えようもなく「美味い」です!。

ちなみに韓国の人とカレーライス屋へは同行しない
ことにしています。

ビビンバは手が掛かる?

ビビンパかビビンバか、ウイキぺディアで見てみましたが、韓国語の発音は難しそうですね。
小生は、ビビンバと思っていました。
名前を聞くだけで、残念ながら、まだ食べたことがありません。
焼肉屋へはここ10年行っていませんし、その前は時々行ったことがあるのですが、最後はあっさりした雑炊でしめました。
歳がわかってしまいますね。

ビビンバが「あんなに手が掛かるもの」との韓国女性の反応に、逆の驚きを感じました。
野菜の7、8種類をあらかじめ別々に炒めたって、大して面倒ではないと思うのですが。
上手におこげを作るのは難しそうですけどね。
料理をしたことがない男が言っても始まりませんが、うちの女房も毎日かなり手の込んだ料理を作ってくれています。
女房に感謝、感謝、です。
ところで、かき混ぜ方ですが、炊き立てのご飯なり、混ぜご飯なり、鍋料理の後の雑炊、などなど、米が主体のものは、かき混ぜるコツがあるようですね。
うちでは、全部、女房任せですが、昔、小生がやったら、「かき混ぜすぎよ」と叱られました。
男の論理として「均等に混ぜねばならぬ」と考えるからでしょうね。
女房に、混ぜご飯を茶碗によそってもらったら、気付かれないようにして箸でそっとかき混ぜている小生です。
「今日も不均等だ!」と、心の中でつぶやきながら。

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Author:treenamu
韓国在住の日本人で、山歩きやサッカー、リフティングなどが好きです。小説・随筆なども書いてます。鴨長明、ヘッセ、バルザック、モーム、チャンドラーなどが好きです。スローライフがモットーです。

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