調和級数(2) _ 数学の話題006
4月 27日に書いた内容の続きです。
分数だけの単純な式なので、しばしお付き合い願います^^。
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 + 1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + … = ??? (a)
ということで、
「調和級数」( a ) の結果がどうなるのか。
1にすこしずつでも小さな数を足していくのだから、
いつかは無限大になるだろうことは予想されます。
でもそのことをどうやって証明すればいいでしょうか。
力尽くでやっては無理ですが、ものすごいエレガントな証明があります。
皆様も楽しんでください。
(証明)
はじめの二つの部分、1 + 1/2 はそのままにしておいて。
次の二つの部分、つまり 1/3 + 1/4 を考えます。
これは 1/4 + 1/4 よりも大きいです。(1/3と 1/4を比べると1/3のほうが大きいことはわかる。)
式で書くと、
1/3 + 1/4 > 1/4 + 1/4 = 2/4 = 1/2
となり、 1/3 + 1/4 の部分は 1/2 よりも大きいということがわかります。
次にその後の4つの部分、 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 を考えます。
最後が 1/8 なので 1/8 を中心に考えます。
1/5 は 1/8 より大です。 1/6 も 1/8 より大です。1/7 も 1/8 より大です。したがって
1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 > 1/8 + 1/8 + 1/8 + 1/8 です。
で、 1/8 + 1/8 + 1/8 + 1/8 =4/8 = 1/2
となり、
1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 の部分も 1/2 よりも大きいということがわかります。
次にその後の8つの部分、
1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + 1/14 + 1/15 + 1/16 を考えます。
同様にして
1/9 は 1/16 より大です。
1/10 も 1/16 より大です。1/11も、 1/12も、 1/13も、 1/14も、 1/15も、全て
1/16 より大です。つまり
1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + 1/14 + 1/15 + 1/16 は
1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 より大です。
1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 + 1/16 = 8/16 = 1/2
ですから、
1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + 1/14 + 1/15 + 1/16 の部分も 1/2 よりも
大きいということがわかります。
以下同様にして、
次の16個、32個、64個、128個、、、つまり2倍、2倍、、、と区分けしていくことができ、
その区分けの部分が全て 1/2 よりも大と示せます。
つまり、いつまでいっても 1/2 より大のものが加算されていきますので、
はじめの式 ( a )
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 + 1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + …
の結果は、無限大ということになります。
これで
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 + 1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + … = ∞
ということが示せました。
( a )の式、つまり
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8 + 1/9 + 1/10 + 1/11 + 1/12 + 1/13 + …
「調和級数」は無限大になる、つまり「調和級数」は発散する、ということですね。
いやあ、おもしろいですよね。
上の証明は、ニコル・オレーム (1323年ごろ-1382年) によって証明が得られているそうです。
皆様はいかがですか。あんまりおもしろくないですか?
見ただけでは無限大になるのか、何かに収束するのかわからないのですが、
上のような手順で考えれば、無限大になるということがはっきりと示せるわけです。
これが、おもしろくないわけがないとわたしは考えまして、わたし、
子どもに話し、妻にも話しました。
でも、反応はゼロでした。おもしろくないんですね。どうでもいいことなんですね。
もちろん、明日のパンのためにはなりません。
なんにもなりません。
でも、わたしはおもしろいです。不思議すぎておもしろいんです。
共感してくださる方が現われることを願ってやみません^^。