天安からアンニョン

日々の思いや韓流情報などをエッセイ風に書きます。韓国からの発信です。

なべもの _ 筆者のエッセイ0003

<なべもの>

 キムチチゲ、テンジャンチゲ、メウンタン、、、と韓国はなべもの天国である。
大きななべをテーブルの中央において、みなでつついて食べる。
スプーンで汁をすくって飲み、箸で具をつまんで食べる。とり箸というのは普通使わない。自分の箸とスプーンでそのまま食べる。
自分の分がセグメントに分けられて出てくる日本のスタイルとちがって、
こちらではみなでいっしょにつついて食べるのが一般的だ。

 お寺では韓国の場合も一人一人別々に御膳が出る仕組みになっているものの、
一般の家庭では一人一人別々に盛り付けするということはしない。
みんなでいっしょに一つなべを囲んで食べる。
一人一人別々の日本スタイルに慣れている人からみると、すこし汚ない感じがするかもしれない。
口に入れた箸でなべものをつまむわけだから、
箸についた唾液がなべにしみるじゃないかというわけだ。

 たしかに唾液はふんだんに入っているにちがいない。
ときにはつばのようなものまで入るかもしれない。
しかし韓国の人は、そういうこまかいことには気をつかわない。
みんなでいっしょに、おれもおまえもいっしょに同じなべをつつく。
ここのところが彼らにとってはとても重要なことなのである。

 食べるときは、みんないっしょ。ナベも同じもので、というのがベースとなる意識である。乞食が物乞いでやってきても、
いっしょに食事を与えてやるのがつい最近(といっても2、30年前)までの常識であり
風習であった。

おおらかででっかい意識が見えはしまいか。
一人一人別々にとって食べるという姿は、
韓国の人にとっては非常にみみっちくてちまちましていて、セコイ姿に映るようだ。

 みんなで食べるというのが常識的意識だから、ある面では困ることもある。

 わたしは授業の関係などもあって、
よく研究室で一人でかみさんの作ってくれた弁当を食べたりパンを食べたりすることが
あるのだが、韓国人のかみさんはそれが非常に気に入らないのである。

 わたしとしては一人でゆっくり誰に気兼せずに食べられる研究室での一人食事は
無上の喜びなのだが、かみさんの意識としては、職場で一人で食事するなんてのは、
なんと寂しくもごさい(かわしそうな)姿かと思うようである。

 ほんとうは毎日研究室で昼御飯を食べたいのだが、
かみさんの「命令」により週2回は難しい時間をなんとかやりくりして
同僚と食べることにしている。

しかしわたしは研究室で一人静かにゆっくりと食べたいというのが本音なのである。
やはりどうしようもない日本人なのだろう。

 「いっしょに」という意識が根底にあるのがここ韓国である。
近しい人同士のこの「いっしょ」意識はかなり度が強いといえよう。

紐帯意識とでも言おうか。われわれはつながっているんですよ、という感覚。
だから家族のつながり、親戚同士のつながり、友だち同士のつながりはすごいものがある。

 これを象徴するのが「ウリ」ということばである。
ご存じのことかと思うが、「ウリ」とは「わたしたちの」といった意味である。

 たとえば「ウリマル」「ウリナラ」。ウリマルは、
わが国のことばつまり韓国語という意味。
ウリナラは、わたしたちの国ということで「わが国」とか「韓国」ということになろう。

この2つだけではなくても日常生活においてはこの「ウリ」なんとかということばが
よく聞こえてくるのである。

たとえばこの他にも「ウリフェサ」「ウリアッパ」「ウリドンネ」「ウリミエ」といった
ことばたちがあるか。

ウリフェサはわたしたちの会社つまり「わが社」、
ウリアッパはわたしたちのお父さんつまり「とうちゃん」、
ウリドンネはわたしたちの町、
ウリミエはわたしたちのミエで、ミエちゃんくらいの意味になろうか。

わが子に対しても勿論使うが、かわいがっている子供(他人)に対しても
「ウリミエ」「ウリユウナ」といったことばを使うのである。 

 いっぽう他人に対する態度は極端に冷淡である。
いっしょにやろうという仲間意識の強さは、
ひるがえれば知らない者に対しては極端な冷淡という形で現われることになる。

バスの運転手とかタクシーの運転手さんたちは普通はつっけんどんだ。
質問しても、親切な顔で教えてくれることはまずありえない。
「めんどうくせえな」といった顔をつくり、だいぶ時間がたってからしぶしぶ
教えてくれるという感じだ。

こちらとしては「あ、無視されたかな」と思ってしまうくらい。
もちろんたまにはものすごい親切な運転手さんもいるにはいる。

日本の100分の1に満たないであろうけど。
そういう人にあたると、逆にものすごくうれしいことになる。
日本ではごく普通なのだけど、
韓国でそういう人に当たるととてもありがたい気持ちになるから不思議だ。

 韓国の友といっしょになべをつつきながら、この熱い繋がりのように、
共に笑い共に励まし共に声をかけあっていける日本と韓国だったら
どれだけすばらしいことだろうか、つくづくそう思うのである。

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treenamu

Author:treenamu
韓国在住の日本人で、山歩きやサッカー、リフティングなどが好きです。小説・随筆なども書いてます。鴨長明、ヘッセ、バルザック、モーム、チャンドラーなどが好きです。スローライフがモットーです。

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